「entrance」は、遠州織物のプロジェクトチーム。
機屋から染色加工、販売など、幅広い職種で遠州織物に関わる若手メンバーたち約30名を中心に、会社や業種の枠を超え横のつながりを作ることで、産地の活性化を目指してきました。
現在は、遠州地域内のアパレルデザイナー、デザインディレクター、アパレル企業などをメンバーに加え、工場見学会から遠州織物の生地販売、オリジナルブランドの商品開発やイベント企画・運営などを行なっています。
「遠州織物」とは、綿や麻などの天然繊維を中心に、静岡県西部の遠州地域で織られている織物のこと。
決まった織り方や生地があるわけではなく、限定された定義はありません。洋服地などの「広幅織物」、着物や浴衣地などの「小幅織物」、紐やテープ等に使われる「細幅織物」、さらには「浜松注染」など、職人のこだわりが生み出す多種多彩な織りや染めの技術は、国内外で高く評価されています。
遠州地域は、古くから日本有数の綿産地として栄えてきました。
江戸時代には、農家の農閑期の副業として機織りが普及。明治時代には、現トヨタグループの創始者・豊田佐吉が動力を使った木製力織機を発明したことにより、綿織物の生産量は拡大。地場産業として発展しました。戦後になると繊維は日本の主要産業へと成長。三河・泉州と並ぶ日本三大綿織物産地として、遠州織物が全国に広まるようになりました。
同時期には、小幅織物である注染染めの工場が増え、全国有数の浴衣の産地としても知られるように。現在でも繊維産業で培った高い技術は、遠州地域のものづくりの原点として受け継がれています。
綿や麻を中心に天然素材から複合素材まで、織れないものはないといわれる遠州織物。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が織りなす風合いある美しい織物として知られています。
ブロードやからみ織、別珍・コール天、遠州綿紬などの産地の特徴的な織物技術や、オーガニックコットン(有機栽培綿)や天然染料を使用した環境に優しい製品づくりなど、新たなものづくりの開発も進んでいます。今もなお分業化された製造工程の中で、糸、準備、織り、染め、加工など、高い技術力をもつ専門の職人がつながり、協働しているからこそ遠州織物が評価されて続けているのです。
「entrance」の“en”には、遠州の「遠」のほか、循環の「円」、つなぐ「縁」 の意味を含み、ロゴマークは円状にデザインされた経糸(たていと)の間を、アルファベットが緯糸(よこいと)のように走ります。
2行に並んだ[entr]、[ance]は、entr(y)=入る、ance(r)=答え、を暗示しています。